研究会開催記録

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「第3回咳嗽研究会」

8: 一側反回神経麻痺術後に高度な乾性咳嗽を生じた2症例

○愛野威一郎、三枝英人、中村 毅、八木聰明(日本医科大学耳鼻咽喉科学教室)

気道反射に重要なSP陽性繊維などの自由神経終末は、披裂部や喉頭蓋、声帯に分布することが報告されている。久らはイヌ喉頭の知覚神経支配について、上喉頭神経と反回神経の両者にSP陽性繊維が認められていることから、両神経がSPを介して喉頭の知覚を支配していることを報告した。最近、関川らはACE阻害剤服用により、誤嚥性肺炎の発症率が減少できたことを報告した。この背景には、ACE阻害剤服用により血清SPやbradykininが上昇する事で、喉頭知覚が上昇することが推測されている。今回、我々は一側反回神経麻痺に対する披裂軟骨内転術後に音声と誤嚥の改善が得られたにもかかわらず、高度な乾性咳嗽を生じた2例を経験した。2例とも、術前よりACE阻害剤を服用しており、術前には咳嗽はなかったものの、術後からは高度な乾性咳嗽を生じた。ACE阻害剤を中止したところ、咳嗽は消失した。喉頭の知覚神経終末の支配を考える上で興味深い症例と考えたので報告する。

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