○藤森勝也(新潟県立新発田病院内科)
鈴木栄一、下条文武〔新潟大学大学院医歯学総合研究科内部環境医学講座(第二内科)
慢性咳嗽をきたす原因疾患の鑑別は重要である。
胃食道逆流による慢性咳嗽の本邦報告例、自験例の臨床像を検討する。
診断基準を満たす、私たちが報告してきた11例、西らの1例、田中らの2例、松本らの1例の、計15例の胃食道逆流による咳嗽の臨床像を検討した。
年齢は63±15(中央値67)歳、男3例、女12例、BMIは25.5±1.7(中央値25)kg/m2で、高齢の肥満女性に多かった。咳嗽持続期間は2ヶ月から数年で、咳嗽の好発時間は就寝時、夜間から早朝だが、昼間もみられた。呼吸機能検査には異常所見を認めなかった。15例中14例に逆流性食道炎を認めた。気道過敏性は亢進しておらず、治療前後で測定したカプサイシン咳感受性の比較から、治療前カプサイシン咳感受性は亢進していることが判明した。治療はファモチジン3例、オメプラゾール7例、ランソプラゾール3例、ラベプラゾール3例であった。咳嗽軽快までの期間は、3.6±1.5(中央値4)週であった。